『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』読書感想文

30を過ぎても日韓の間に何が起こっているのかがわからない。朝のニュースで語られる「慰安婦」問題も、インターネットで日々起こる「反日」「反韓」も、全然わからない。わからないのでインターネットで話題になっても触れたりもしない。ずっとそうして生きてきたが、昨年あたりから韓国文学や映画、ドラマに触れるようになり、両国の歴史についてちゃんと、とまではいかずともどういう歴史を経てきたか知りたい。と思うようになっていた。

しかし30年近く生きているとインターネットにある情報を鵜呑みにするのもな。とも思い、何かいい本を…と探していたところ出会ったのが本書『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』である。

K-POPなどをきっかけに韓国に興味をもち日韓関係の歴史を学び始めた学生たち。しかし、ネットや家族・友人の言葉になんだかモヤモヤ。それはなぜか、自問し、語りあい、モヤモヤの根源を探りつつまとめた日韓関係「超」入門書。

大月書店公式WEBサイトより

大学の同じゼミの学生たちが日韓の間にある「モヤモヤ」の正体を探る過程をまとめた1冊。

とにかく「日韓関係「超」入門書」というだけあって、「慰安婦」問題や「反日」「反韓」、日本の加害の歴史や両国の歴史観…知りたかったことの入り口を丁寧に解説してくれる1冊であった。

特に自国の加害性に関して。自分は90年生まれなのだが、中学や高校で日本と韓国の関係についてきちんと学んだ記憶がない。植民地化の歴史について、歴史上起こったこと。と認識していても「自国の他国に対する加害の歴史」としての認識がなかったのだ。いま思うと本当に恥ずかしいのだが、アメリカの公民権運動についての方がよっぽど時間をかけて教えられた気がする。中学高校時代、あまり学校の勉強ができる方ではなかったので抜けている部分はあるかとは思うが、やはり思い返しても日韓の間に何が起こったのか、学校ではきちんと教えられていない気がする(反韓的な教育をする教師にも当たらなかったのはよかったかもしれないが)。

韓国エンタメに興味を持ち始めたのがここ2,3年と遅かったのもあってか、日韓の間にある“もの”について無関心で生きてこられた。しかしそれも本の中でも語られているが、それそのものが『特権』であったといまはわかる。

本を読み終え、真っ先に「モヤモヤ」が晴れることは今後あるのだろうか。と少し考えたが、個人的にはないと思う。ずっとその「モヤモヤ」を抱えていくべきだとすら思う。自分の歴史ではないにせよ自分が生まれ育った国の歴史だ。忘れてはならないし無かったことには絶対にならない。

K-POPや映画やドラマといった韓国エンタメが好きで、日韓の問題に関しては少しでも知るべきかもしれない。と思っているひとには真っ先に勧めたい1冊であったし、無関心でいようとするひとにも読んでほしい1冊であった。無関心でいられるかもしれないが、無関係ではいられないだろう。それこそ中立でなんてスタンス取れる立場ではないだろう。

そして本書を入り口に、今後も日韓の間にある“もの”について自分なりに学び続けようと思う。次はやはり本書内でも紹介されていた『だれが日韓「対立」をつくったのか』だろうか。そのうち読む。

あと、本書の内容とは直接的に関係ないが、朴槿恵元大統領を退陣に追い込んだ韓国の市民に対し、日本では安倍元総理大臣を退陣に追い込めなかったのだな。といまになって考えたりした。なぜあんなにも長い期間居座り続けられたのだろうか。そしてそれは今後も続くのだろうか。

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