『トランスフォーマー/ビースト覚醒』と『ビーストウォーズ』の吹替とアドリブに個人的に思うこと

密かに楽しみにしていた『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の特報が公開された。

めちゃくちゃカッコいい。『バンブルビー』の続編で新3部作の1作目。とのこと。『バンブルビー』がプロローグ的作品になるということだろうか。

僕自身は90年代生まれのゴリゴリなビーストウォーズ世代。実写映画は1作目から『ダークサイドムーン』あたりまでは映画館で見ていて『最後の騎士王』は何度見ようとしても寝落ちしてしまう。『バンブルビー』がめちゃくちゃ好き。アニメシリーズはCGのビーストウォーズシリーズは一通り見ているけど国産アニメシリーズは結構怪しい。見ていた気はするが記憶がないしおもちゃもあまり覚えていない。2までは持っていた気がする。それ以降は近年のNetflixのWFCトリロジーは見たし面白かった。それくらいのぼんやりファン。G1のキャラクターに関してはなんとなくの知識で見ている。

ぼんやりファンだけど書店で見かけた『ビーストジェネレーション』という4,000円近くする本を衝動買いしたり、WFCチーター(チータス)のキングダム版とNetflix版をつい買ってしまうくらいには思い入れがある。それくらいのファンだ。

当初の公開予定は大幅に後ろ倒しになっており待ちに待った予告編。めちゃくちゃカッコよかった…!オプティマスプライマルは「森の賢人」ゴリラモチーフが活きる森の中でのオプティマスプライムとの邂逅。もうこれだけで最高なのだが、チーターやエアレイザー、ライノックスらしきキャラクターが新たな解釈で実写映画シリーズに合流することに興奮してしまった。メカニカルなチーターと車が併走するカットとか超カッコいい。走りながらトランスフォームする姿とかもう…!!

と、めちゃくちゃ興奮したのだが、ビーストウォーズが話題になるたびに避けて通れない(わけでもないがどうしても目についてしまう)話題がある。「吹替のアドリブ」云々である。

僕ももちろん好きだ。ビーストウォーズに夢中になった大きな理由が「見たことのないCGアニメーション」と「声優さんたちのクセの強い演技」であったと思う。当時チータスが大好きだったけどシルバーボルトの「なぜにWhy?」がお気に入りで何度も言っていた気がする。しかし、同じ名前のキャラクターが登場するというだけで当時のノリが一定数求められることに違和感を感じる。違和感というか、そればかりを求めるひとに対しては嫌悪感に近い感情を抱いている。

確かに作品の大きな特徴だとは思う。しかし、別軸の別作品だ。すでにある実写映画の世界観の中で「過去作がそうだったから」という理由でそれを求めるのはお門違いだとも思う。

それに至るまでも岩浪美和氏による「当時日本ではトランスフォーマーのアニメが途絶えており(主に子どもたちの)知名度が低かった」ことや「北米オリジナルそのままでは(日本の子ども向けアニメとしては)暗くシリアス過ぎる」といった不安要因の一方で「久しぶりのトランスフォーマーアニメの新作で当時のタカラとしてはなんとしてもヒットさせたい」という意向を汲んだ相当アクロバットな経緯があったと記憶している。

また、主にインターネットで求められている「ビーストウォーズの面白吹替」は大方「リターンズのそれ」ではないだろうか。あれはモバイル放送という特殊な放送であったことと、北米本国での制作スタッフの変更等相当ゴタゴタしていてそもそもあまり面白くない(と言われている)。という諸々が生んでしまった怪作である(TFのカブトボーグと言っても差し支えがないと認識している)。メタルスまでは大筋のストーリーはちゃんと追えるが、リターンズに関してはストーリーを追うことすら困難なものになっている。ニコニコ動画やYouTubeの黎明期では定期的に「ビーストウォーズの面白吹替」が話題になっていた気がするがそれも「リターンズ」のものではなかったであろうか。もしくはメタルスの「リミックス」だ。これも説明が面倒臭い。

そういった経緯・文脈を無視して「ビーストのキャラクターが出る」というだけで反射的に「アドリブ吹替で頼む」みたいに反応するの、いい加減やめた方がいいと思う。あれは個人的には「当時アニメをヒットさせるための創意工夫」としては大成功だったが、それと同時に結果的に「作品を正しくローカライズし楽む機会を奪った(それで売れるのかという話はしていない)」とも思っている。ちなみに現在に至るまで配信を含め字幕版で見る手段すらない。

僕がそう思うようになったのは数年前『シャザム!』公開時にその吹替を福田雄一が手がけたときだ。日本でのヒットを狙うあまりか定期的にこういったことは起こる。芸能人吹替やアニメ映画で芸人の持ちギャグは吹替として永遠に残ってしまう(『レゴバットマン』の小島よしおは好きだがオッパッピーはちょっと…)のはリアルタイムでは瞬間的に話題になったり面白いかもしれないが、数年後どう見られだろう。そしてそれらは作品が日本に来る前からのファンにとってどうしたってノイズになるのではないか。

ビーストウォーズはインターネットが普及する前の90年代だったからそういった声を見ずに何も知らない新規の子どもたちが無邪気に楽しめたのだ。それが悪いことだとは思わない。実際僕も当事者としてそうだった。だが、それをいま求めるのは話が違う。

トランスフォーマーの知名度もかつてのそれではないこと。新作実写映画作品であること。つまり当時のファンのノルタルジーのための作品ではない。

ちなみに映像作品におけるオプティマスプライムとオプティマスプライマルの共演は今作が初めてではない。前述したNetflixで配信されている『トランスフォーマー:ウォー・フォー・サイバトロン:キングダム』だ。こちらでも共演・共闘が描かれている(僕が知らないだけで他にもあるかもしれない)。

WFCはG1のリブートやリメイクの側面が強く、そこにビースト勢が出演する。というものでビースト勢はゲストと言っても差し支えがない。そこでもやはり「面白吹替」を望む声を見かけたが、WFCシリーズはかなりシリアスな作品であり『キングダム』はそのトリロジーの完結編である。そこにそれを求めるの、マジでどうかしてる。

本作ではオプティマスプライマルに子安武人、ビーストメガトロンには千葉繁が起用されているが、アドリブ的演技は限りなくされていない。千葉さんのビーストメガロトンに関してのみ若干アクの強さを感じたが許容範囲。かなり当時のニュアンスに踏み込みつつも一線は超えていないあたりプロの仕事であった。キングダムのビーストメガトロンがビーストウォーズのメガトロンを彷彿とさせる部分があったのあるかもしれない。見られるひとは見てほしい。面白いので。

長くなってしまったが何を言いたかったかというと、いつまでもビーストウォーズの吹替を持ちあげてはしゃぐの見ていて恥ずかしいな。ということだ。

別件だが日本版『ビースト覚醒』の特報で最後にタイトルを言っているのは多分…子安さん…ですよね…?日本で玄田哲章さんがオプティマスを演じ続けていること、キングダムでの起用という経緯もあるのでここは期待してもいいと思います。楽しみにしています。

そして一番楽しみなのはチーターのおもちゃ!

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