『舞台ウマ娘』で初めて舞台演劇に触れたひとにオススメしたい『劇団四季 ディズニー ミュージカル』

劇団四季のファンだ。四季オタというほど通っているわけではないが、数年前に『ノートルダムの鐘』を観て以来、年に数回四季劇場に行くことが楽しみになっている。

さて、先日『舞台ウマ娘』で初めて2.5次元に触れたのだが、とても面白かった(それについてはこちらに書いた)。自分自身2.5次元に初めて触れた身だが、今作で観劇そのものが初めてだった。という方も多かったらしく、そういった客層を見越した演出も見受けられた。

作り手たちからわかりやすく「舞台演劇の面白さを知って帰ってもらおう」という意志を感じたわけで、「せっかくだし、他にも何か観てみようか」と、少しでも思ったひとに自分の守備範囲である劇団四季のディズニーミュージカルの紹介をしようと思う。と言っても自分自身ここ数年のファンであり、観劇経験も多いわけでもない。まぁぼんやりそういうものがあるのな。くらいに受け止めていただければと思うし、少しでも興味を持ってくれたら劇場に足を運んでほしい。

劇団四季のディズニー ミュージカルをオススメする理由

ミュージカルに興味はあるけど、どれから観たらいいかわからない。というひとは少なくないと思う。自分自身そうだったし、いまでもそう思うことはある。安くないチケット代だ。「名作」らしいがどんな話かもわからない。決して安くない金額を出して失敗したくない。とか、そういった気持ちは常につきまとう。

しかし、ディズニーのアニメーション映画を元にしたミュージカルならどうだろう。どんな話かわからない。ということはあまりないと思うし、いまはディズニープラスでアニメーション映画を見て予習もできる。サブスクでアニメーション映画はもちろん、四季や本国版サントラも配信されている(聴く際はネタバレ注意)。

「観劇前に予習が必要なのか」に関しては、個人的には別に必要がない派。だが、それはそれとして関連作品に触れやすいというのは悪いことではない。劇団四季のディズニーミュージカルに限らずだが「原作」と呼ばれる作品をそのまま舞台上で再現するわけでもないので何が違うのか・どう違うのかも楽しむポイントになってくる。『ライオンキング』や『美女と野獣』、『アラジン』はアニメーション映画だけでなく、実写版(ライオンキングのあれは厳密には「実写」ではないが)もあるので、作られたタイミングによって少しずつ表現が異なるのは見比べると面白い。

あとはもうとにかく面白いからオススメ。だってディズニーアニメーション映画のミュージカルだもの。

ちなみに配信はDVD等家での観劇はできない。海外版権というのは色々難しく、そこら辺は宝塚は本当に上手くやっているな。と感心するばかり。

では、前置きは長くなったが1作ずつ紹介していこうと思う。

アナと雪の女王

言わずもがな『アナ雪』。大きな特徴としてはプロジェクションマッピング等「光の演出。圧倒的に美しい。

『アナと雪の女王』は近年のディズニー作品の中でも関連作が多い作品(短編3本続編1本)だが、今作はそれらを踏まえた上で再構築された新たな『アナと雪の女王』と言って差し支えがないと思う。

アニメーション映画から追加された新曲はどれも素晴らしく、特に『あなたを失いたくない』はアニメーション映画の『生まれてはじめて (リプライズ)』にあたる曲なのだが、エルサとアナが互いを想う歌詞と歌唱がすばらしかった。もちろん『ありのままで』も最高。きっと、想像する『ありのままで』をもう段階超えてくる。それくらいすごい。

本作は2023年現在、劇団四季のディズニーミュージカル最新作であり、東京のJR東日本四季劇場[春]にて通年上演されているので内容はもちろん、チケットも比較的取りやすい部類なのでオススメできる。

ノートルダムの鐘

そもそもディズニーはなんでこの話をアニメーション映画にしようとしたの?でお馴染みの『ノートルダムの鐘』。これを書いている人間は今作をきっかけに劇団四季やミュージカルを見るようになったのでそれはもう思い入れも強いし、全人類に見てほしいのだが、それと同時に見るひとを選ぶ作品でもある。

大きな特徴としては、ディズニーのアニメーション映画を下敷きにしながら、物語をより原作に近づけた「ダークな作風」だろうか。とにかく陰々鬱々とした物語であり、暗い。しかし、だからこそ生きること、ひとを愛するとはどういうことか。を力強く語りかける作品になっている。

とにかく迫力が凄まじく、舞台上にいる役者たちの声が身体にぶつかってくるような圧がかかってくる。見るひとは選ぶと思うが、それだけに刺さるひとには深く刺さる1作だと信じている。

今年の5〜8月にかけて東京のJR東日本四季劇場[秋]にて上演される。人気作というのもあるが昨年は『ツイステッドワンダーランド』でもノートルダムをモチーフとしたイベントが開催されたこともあり、会場的にアナ雪との2本立ても可能だし内容的にもオススメ。チケットを取るのは容易ではないだろうな。と想像している。

チケットは2月11日(土・祝)「四季の会」会員先行予約/2月18日(土)一般発売開始。

アラジン

とにかく楽しく圧倒的に華やか。楽しさに全振りした冒険物語。舞台上で花火使ったり、演出が派手というかもはや祭り

『アラジン』は数年前にもガイ・リッチー監督で実写映画化され、現代的なプリンセス像を描いておりとても面白かったが、ミュージカルはアラジンとジャスミンのデュエットが追加され関係性をより深く描いており、また別の面白さがある。アラジンの相棒・サルのアブーは3人の泥棒仲間となり、ジャファーの鳥イアーゴは人間になっていたりとノートルダムほどではないがアニメーション映画の設定から変更されているので何も知らないとびっくりするかもしれない。

ランプの魔神・ジーニーについて見る前は生身の人間が演じて大丈夫?などと思ったがそんなもの杞憂でものすごくジーニーだった。『アラジン』は知らなくても大丈夫だけど『リトルマーメイド』『ポカホンタス』『美女と野獣』は知っておいた方が楽しいかもしれない。理由はサントラを聴けばわかるし、わからなかったら見よう。

本来であれば電通四季劇場[海]にて通年上演されているが、現在は長期保守点検中のため上演されていない(8月27日より上演再開の予定)。2023年現在8年目、劇場保守点検を挟んで長期上演予定とのことで舞台装置的に地方巡業が難しいと思われる。東京で見るという前提であれば強く勧めたい1作。

リトルマーメイド

舞台ウマ娘がシュール?こっちだって負けてない。こと『リトルマーメイド』。海中シーンでの人魚の髪型が細長い巻貝のようになる。が、それが特徴かと聞かれたらそれは特徴ではなく、本作を構成する要素のひとつでしかない。海中のライオンキングのごとく色とりどりの世界が広がる「視覚的な面白さが特徴だろうか。

リトルマーメイドはディズニールネサンス期の幕開け的作品でありつつ、ルネサンス期最も前時代的なプリンセス像で描かれた物語だと思っている。そのため、ミュージカル化にあたって当時なりの再構築をしたのだろうな。と感じることはありつつも特定のキャラクターがステレオタイプ的な描かれ方をしていたりと絶妙に痒い所に手が届かない部分はある。

が、今作アリエルをはじめとした海中を泳ぎながら歌う役者たちの体幹に震えたり、アースラが最高だったりとネガティヴなことを思って見ないのはもったいない。光を使った演出があるという意味ではアナ雪とは対照的かもしれない。アナ雪の光が神秘性ならリトルマーメイドの光は怪奇性だろうか。深海生物たちの表現としてやはり見ていてずっと面白い。

現在は宮城にて2023年3月12日(日)まで上演されており、2023年5月28日(日)より札幌での上演が始まる。現在全国で上演されており、タイミング次第だが地方でも見やすい演目であると思う。ただ、地方公演というのは「近くでやるなら」くらいの感覚で来る方も少なくなく、わざわざ専用劇場へ足を運ぶほどの熱はない方も来るのでなんとなく観劇マナーが低くなりがちな側面がないわけでもない。

ライオンキング

言わずと知れた名作。劇団四季といったら本作かキャッツ、あとはオペラ座だろうか。だが、見たことがないひとも少なくないのでは?

自分もそうだった。では、初心者はまずライオンキングから!と、勧めるかといったらあまりならない。身体性を使った物語表現は最新作のアナ雪やアラジンと比べるとやや概念的というか、面食らうひともいると思う。じゃあそんなに面白くないのか。などといわれたら全くそんなことはない。とにかく役者たちから溢れ出る生命エネルギーを浴びるような観劇体験というのはライオンキングならではのものではある。が、少し慣れてから見る方が楽しめるとは思ったりする。

もはや古典化している部分はあるが、だからこそ見ることで「なるほどこれは長く愛されるわ」と思わせてくれるとも思う。ティモンとプンバァはプライドランドから離れた場所に住む田舎者であり、上演される土地の方言で喋る。という設定があるため、色んな場所で見るのも面白いかもしれない。

美女と野獣

未観劇。野獣の一人称が「僕」ということしか知らない。

美女と野獣なんていいに決まっている。

現在舞浜にてロングラン上演されている。おそらくパークに行くのと併せて観劇するというのが提供されている観劇プランかと思われるが、そんな場所なかなか行く機会がない。どこかで行きたいとは思うが。

アイーダ

未観劇。10年近く上演されていないので来年あたり上演していただけませんかね。

ミュージカル、面白いよ。

自分が見てきたものを簡単に紹介してきたが、結局どれがオススメなのだと聞かれても困る。きっと何を見ても面白い。

劇団四季のディズニーミュージカルを1作見て、じゃあ他のディズニーミュージカルを見てみよう。オペラ座を見てみよう。宝塚や帝劇も見てみたい。と広がる世界もきっとあるはずで、その扉を開くきっかけになるのも親しみやすいディズニーのミュージカルならではのものがあると思っている。

これを書いている人間は数年前ノートルダムから入り少しずつ劇団四季以外のミュージカルを見るようになって、今年は宝塚の『ディミトリ(はライブビューイング)』やホリプロの『マチルダ』、『ジキルとハイド』を観る予定。四季に関しては『ウィキッド』は何があってもチケットを確保する所存。

沼にズブズブというほどズブズブではないと思うが、数ヶ月先の観劇チケットがあるだけでやるか。と思えることも多々あるので、オススメです。観劇。

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