【映画感想】ヘアスプレー(2007)ミュージカル映画なのは知っていたが公民権運動時代の話だとは知らなかった

渡辺直美が主演のミュージカル『ヘアスプレー』が上演されており、火曜のアトロクでも宇垣さんが見に行ったという話をしていた。

2007年に映画はやっていたことは当然知っていたが、実はどんな話か知らず「ぽっちゃりちゃんの女の子ががんばるハッピーミュージカル」くらいに思っていたのだが宇垣さんの口から「60年代アメリカ」や「差別を扱った」という言葉を聞いてずいぶん自分が持っていた印象と違うことに驚いた。

Youtubeで当時の予告を探して見たのだが、確かに記憶通りのプロモーションをしていたらしい。

予告には公民権運動の「この字もなければ差別の「さ」の字もない。そういうテーマを扱った映画であることを押し出しても集客は見込めない。という判断だったのだろうか。

いざサブスクで見ようと思ったらどこにもない。少し調べてみるとどうやら権利を持っている会社が権利の更新をしなかったようで現在日本ではDVD・Blu-rayの流通がされておらず、サブスク配信はおろか有料配信すらしていないという有様だった。

そこでやはり頼りになるGEO。レンタルBlu-rayがなかったので何年ぶりかわからないDVDを借りた。そして見た。

正直よくこの物語で差別や公民権運動のイメージを持たせずにヒットさせたな。と思ったし、あれだけヒットした映画なのにその作中で扱っているテーマを知らずにここまで来たあたり、見たひとの関心がそこにないのか、自分の関心が低かった故に見落としていたのかもはやわからないが驚いた。

映画そのものもやはり元となったミュージカルがいいのだろう、とても面白かった。面白かったのだがジョン・トラボルタ演じる主人公トレイシーの母親役というのは時代もあったのだろうがキャスティングどうなんだ。などと思ったら伝統的に「男性が演じる役」なんですね。現在上演されている日本版のキャストも男性の方だったのでそういうものなのだろうけど、雇用の話だったら別に女性が演じる役であっても問題ないだろうな。などと思いました。

“太っている女性”を男性が演じることが作品の伝統であっても作中での描かれ方を思うと、アメリカでいまはどうなのか知りませんが男性がある種面白おかしく演じるのではなく女性が演じるべきキャラクターだと感じました。人種差別を扱った作品なのに作品の中で特定属性の女性差別が別軸で行われているように感じるのです(吹替がまたキツかった)。

ここら辺は現状アメリカでどうなっているのか、今後どうなっていくのかは少し気になります。

このような作品があって作中で「差別の時代は終わり」と高らかに宣言したのが公民権運動時代としては1950〜1960年代、ミュージカルの初演が2002年、映画が2007年で日本版ミュージカルが結果的に2022年。周りを見るとヘイトスピーチに溢れ、人種間・民族間の分断は広がっていてげんなりする。

しかしそれも終わらせなければいけない。と何度でも力を与えてくれるのもまたフィクションになのだと思うのです。

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